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特定非営利活動法人JHP・学校をつくる会では、「国家・民主主義の発展は基礎教育の普及から始まる」というポリシーのもと、まだまだ不足している学校の建設や、教育内容の充実など、ハード・ソフトの両面から活動を行っています。ソフト面のなかでも【音楽教育プロジェクト】は、子どもが健やかに成長していくために欠かすことのできない、小学校における「情操教育」に焦点をあて、その復興と普及を目指す活動の一環なのです。
カンボジアではほとんどの子どもたちが、豊かな心をはぐくむ情操教育に触れる機会さえ持つことができないのが現状です。そんな子どもたちが、音楽や芸術を知る機会をつくりたい。幼年、少年期から青年にかかる大切な時期を精神的にも豊かに過ごし、やがては国家の発展へ寄与する健全な成人へと成長してほしい。さらに、カンボジアの教育関係者がこうした情操教育の意義を理解し、カリキュラムの中に取り入れることによって、質の高い教育体制が少しでも早く構築され、持続されていくようにしたい。そのために、私たちは音楽・美術分野における教員の育成と、啓蒙・普及活動を行っています。
このプロジェクトの結果、これまでにカンボジア国内で73校が音楽の授業を行えるようになりました。今後は、教員や生徒たちが成果を発表でき、同じ経験を共有できるような場をつくっていくことも考えています。ゆくゆくはカンボジアの教育関係者だけでなく、一般の人々にも情操教育に対する理解が浸透し、カンボジアで音楽教育が自発的に発展していくことが、私たちの目標なのです。
じつは、カンボジアの小学校や小学校教員養成学校のカリキュラムには、音楽、絵画の時間がすでに組み込まれています。ところが、人材も教材も楽器も不足していたために、実際には授業が行われていなかったのです。2001年の時点で、教育省の教員養成局には、音楽204名、美術187人、ダンス102人の指導者派遣の要請が届いていました。これを受けて教員養成局から教育省に指導者育成の要請もあったのですが、人材・予算不足のため放置されたままでした。
1990年代初頭、母国に戻ってきた難民を支援する活動をしながら、私たちは、楽器一つすら思うように手に入らない暮らしの中でも、カンボジアの人々がいかに音楽を愛しているかに気づかされました。そして、学校建設が始まった当初から、日本の中古楽器を運びつづけました。1995年には、御殿場市国際交流協会の協力で集められた鍵盤ハーモニカなどの楽器およそ1トンを船便で送ることもできました。ところが、楽器といっしょに届けられた教科書を見たプノンペン教育局長オンフン氏の「残念ながらこの音符をよめる教師がいない、音楽教師も送って欲しい」という言葉に、内戦が教育に与えた被害の凄まじさをあらためて思い知らされたのでした。
1996年、日本人の音楽教員をカンボジアに派遣することから、私たちの音楽教育プロジェクトは始まりました。カンボジア教育省や各県教育局スタッフ、そして個別の学校からも、このプロジェクトに参加したいという声がたくさん寄せられています。現在、私たちは、教員を育てる分野での人材育成にも取り組んでいます。
このように、音楽教育を取り巻く状況をみても、まだまだ、私たちにできることはたくさんあるのです。